ちょっと、違和感。




そうゆうものだけは、ちゃんと片付けてあった。
トオルは、リビングから私の部屋に
なかなか来ようとしない。
よっぽど、イヤだったのだろう。
ようやく、入って来て、
大きなため息をついた。
トオルの部屋にあるのより、
ずっと大きなベッド。
トオルは、ベッドを見たくなかったようだ。
私は、何も気付かないフリをしていた。
すぐに、トオルは、ビールを飲みながら、
サクサクと荷物をまとめ始める。
最後に閉まらなかったスーツケースの蓋を
閉めてくれて、終了。


クラブに行く途中。

行かなければよかった。」

気にしないで。
最後だよ。楽しくしていたい。」

トオルは、口にはあまり出さないが、
私の過去を相当気にしている。
男の人の方が、過去を気にするのだろうか。
私は、今のトオルだけだった。
最後のクラブ。
ワイキキでの一番の思い出の場所。
ここで、色々なことがあって、
最後に、トオルにプロポーズされた場所。
チャイニーズの友達も
そして、クラブで知り合った友達も
たくさんいた。
私は、みんなと踊っては、
トオルのところに戻る。
トオルに抱きしめてもらうために。
何分も離れていられない。
すぐに、トオルのぬくもりが欲しくなる。
クラブでも、駆け込みで
二人の写真を撮ってもらったが、
トオルの顔は、酔っ払っていてヒドイ。
トオルは、今日も
かなり飲んでいた。
スローな曲になって、

と、初めてトオルが踊りに誘ってくれた。
誰も踊っていないフロアで、
2人だけ。

無理してるでしょ。」

みんなの前で、相当恥ずかしかったと思う。
トオルのやさしさが、うれしかった。
その後、トオルはノリノリに踊った。
みんな、初めてトオルが踊る姿を見て
大笑いしていた。
時間は確実に過ぎていく。
閉店の時間。
最後にマックスにお別れを言う。


これから淋しくなるよ。
トオルのことは、見張ってるよ。」


最後にホッペにキスとやさしいホグ。
今日は、トオルも大目に見てくれるだろう。
最後の晩。
トオルの部屋もこれが、最後。
結局、Jとの喧嘩の日以来、
私は、ずっとこの部屋で夜を過ごした。
毎晩、トオルの腕の中で眠った。

私から言った。
トオルは、私を抱き始めた。
やさしく。
私が、感じるように。
でも、やっぱり、最後までしようとしない。


セックスしなくても、アリスがいるだけでいいんだ。」
私たちは、眠らなかった。
お互いの顔を一秒でも長く見ていたかった。
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